実は今まで、西加奈子さんの作品は読んだことがありませんでした。
なので、私が初めて読んだ西加奈子さんの作品は、デビュー作の『あおい』になります。
『あおい』↓
小学館文庫から出版されています。
前々から西加奈子さんの作品は気になっており、一度買おうともしました。
たしかそのときは、他に面白そうなミステリー小説があったのでそっちにしたんだったけ?(忘れました)
とりあえず今回は、西加奈子さんの『あおい』の感想を述べていきます。
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どんな話?
スナックで働いているさっちゃんは、3歳年下の彼氏カザマ君と同棲中。
普段からカザマ君はそっけないので、彼との今後のことについていろいろ戸惑います。
そんな中、カザマ君の子供を身ごもっていることを知ったさっちゃんは、カザマ君にそのことを打ち明けられません。
そこで、カザマ君から逃げるように長野に住み込みのバイトに行きますが、すぐに逃げ出してしまう。
そんな長野の山奥で、さっちゃんはあるものを目にします。
西加奈子さん特有のユーモアにあふれた、恋愛小説?です。
ちなみに、表題作の「あおい」の他、「サムのこと」、「空心町深夜2時」の2篇も収録されています。
感想※ネタバレ注意
正直なところ、「よくわからなかった」というのが一番の感想です。
私の好みになりますが、小説の文章が硬すぎるのは読みにくくて好まないのですが、西加奈子さんのように柔らかすぎるというのも、読みにくいということがわかりました。
ですが、この西加奈子さんの小説のふんわりとした語り口は、ある意味では読者にやさしいのではないでしょうか。
例えば、さっちゃんは過去にトラウマがあるのですが、この柔らかい語り口のおかげで、あまり深刻にストーリーに深入りできなかったです(あくまで私はです)。
私は、よきどき小説の内容に深入りしすぎて心が荒んでしまうことがあるので、深厚な内容が柔らかく表現されているのは助かりました。
加えて、この小説の主題、というよりテーマ的なものも、正直よくわかりませんでした。
この点に関しては、私自身の感性や人生経験の不足が原因です。
私からすると、この小説は恋愛小説でした。
ですが、おそらく他の人が読むと恋愛小説とはとらえないかもしれません。
私のこの小説のゴールは、不安に打ち勝って、子供を育てていくことを決心したという点になります。
ということは、カザマ君に赤ちゃんの話をし、一緒に子育てをしていくことになるのでしょう。
なので、ハッピーエンドの恋愛小説ということになりませんかね?
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そして、タイトルの『あおい』ですが、最後の最後に明らかになります。
それは、長野の山奥でさっちゃんが見つけた「たちあおい」という言葉。
とある木の根元にある看板に書かれた「たちあおい」の言葉をみたさっちゃんは、何かが吹っ切れたように子供を産む決心をします。
そして、生まれてくる子供を勝手に女の子だと思い込み、子供の名前を「葵」にすることを決めたのです。
ちなみに、生まれてくる子どもは元気な男の子でしたが、名前は「葵」のまま。
ここまで読んで思ったのは、私からするとすごく難しい話でしたが、おちは単純でユーモアにあふれており、さっちゃんが相当変わり者だということ。
いや、さっちゃんが変わり者ではなく、登場人物全員が変わり者なのかな?
ただやはり思うのが、「たちあおい」を見て泣いてしまうくらい、心に重い悩みを抱えていたさっちゃんの苦悩。
まあ、だらしない彼氏のカザマ君や経済的な問題を踏まえると、子供を産むか悩むものかもしれません。
それを一瞬で解決してしまった「たちあおい」。
こんなユーモアにあふれたラストをもたらしてくれる小説は、そうそうないのではないでしょうか。
正直よくわからない作品ではありましたが、西加奈子さんのユーモアが光っていた小説でした。
まとめ
西加奈子さんの『あおい』は、今の私の感性や経験からすると、少し理解するのが難しい作品でした。
私もまだまだお子様ですね(笑)。
ただ、西加奈子さん特有のユーモアがところどころにちりばめられているので、多々笑えるところがあります。
また、少し内容が重くなる部分も、西加奈子さんの柔らかい語り口のおかげで、あまり深刻にならずに読むことができます。
なので、少しの感動と並外れたユーモアを求める読者には、かなりおすすめの作品です。
少し難しい話が多そうですが、また西加奈子さんの作品を読んでみたいです。
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