発売当初から気になっていたけれど、なかなか読む機会に恵まれなかった『仮面病棟』。
ついに、購入して読みました。
『仮面病棟』↓
「一気読み注意」と書かれているだけあって、かなりスピーディーな展開でストーリーが進んでいき、ページをめくる指が止まりませんでした。
かなり面白いサスペンス小説でした。
ちなみに、作者は知念実希人(ちねんみきと)さんという、医師免許をもっている方です。
今回は、知念実希人さんの『仮面病棟』の感想を述べていきます。
※本記事の性質上、若干のネタバレを含みます。
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どんな話?
外科医の速水秀悟は臨時で、田所病院の夜勤当直医を任されることになった。
その夜、ピエロのマスクをつけた男が銃で撃たれた女を連れてきて、一晩田所病院に籠城すると言い出す。
ただの寝当直になるはずの一夜が、一転して恐怖の一夜へと変わってしまった。
しかも、ただの籠城事件のはずが、事件の過程で田所病院が抱えている「秘密」が剥がれ落ちていく。
本当に一気読みしたくなってしまう、最高のミステリサスペンス作品です。
感想※ネタバレ注意
最初にも述べたように、『仮面病棟』は本当に一気読みしたくなってしまうほど、読者の関心を引き付ける作品です。
いつ命が奪われるのか分からない緊迫感、病院内で繰り広げられる犯人との心理戦、そして病院が必死に隠そうとしている「秘密」などが、詳細に証言されています。
そのため、まるで自分がその現場にいるのかのように、ストーリーに引き込まれていってしまいました。
また、夜の病院というあまりなじみのない場所がストーリーの舞台として設定されているので、余計に読者の緊張感を増幅させます。
ちなみに、以前知念実希人さんの『億条のテロリスト』という作品も読んだのですが、その際もストーリーに引き込まれていったのを覚えています。
なので、知念実希人さんのストーリーへの引き込み方が、かなり卓越しているということでしょう。
『仮面病棟』のすごいところは、こっちが創造したことのさらに上のストーリーを展開してくるところです。
ここから結構ネタバレを含みます。
正直、ピエロが田所病院に籠城した理由や田所病院が抱えている秘密、そして病院籠城に協力者がいることは、読んでいるとある程度考えつきます。
ですが、それを上回る「想定外」な展開をもたらしてくれます。
例えば、結論から言うと田所病院は、違法な腎臓移植の手術を行うという「秘密」を抱えていました。
そのことを知っていたピエロは、その秘密を世間に暴くために、夜の田所病院に籠城し、「秘密」を探り出そうとします。
これは『仮面病棟』を読んでいるときに、私が考えついたストーリー展開です。
そこまでして「秘密」を暴こうとするのは、大切な人のためだろうということも、この段階で考えつきました。
結論から言うと、この私が思いついたストーリー展開は合っているには合っていますが、知念実希人さんはこれをはるかに超えたストーリーを用意してくれています。
まず、ピエロが田所病院に籠城したのは「秘密」を暴くためであり、ピエロの恋人が田所病院で腎臓を抜き取られた後、亡くなったということになっていました。
ここは私の予想通りでしたが、この後に思ってもいない展開が起こります。
ピエロの恋人は、実は一緒に人質になっていたピエロに撃たれた女性で、人質の中にいながら「秘密」にかかわった人間たちを殺すことを目的に、病院内にいるのです。
実際、土壇場で復讐を果たした彼女は、速水秀悟以外の病院の人物、そしてピエロをもピストルで頭を撃ち抜き、姿をくらまします。
恋人と思っていたのはピエロだけで、彼女のほうはピエロはただの復讐の道具だったということです。
そして、その日に始末できなかった速水秀悟に当直を変わってもらった医師の元へと復讐に向かいました。
このように、想定外の展開が起こるので、読んでいてどんどん深みにはまってしまうのです。
何重もの展開が繰り広げられることによって、ストーリーが重圧なものになっていくうえ、スピーディーなストーリーが展開されるため、一気込みしたくなってしまうのでしょう。
これが知念実希人さんの文章の技です。
まとめ
知念実希人さんの『仮面病棟』は、スピーディーな展開で想像以上のストーリーが展開される、最高のミステリーサスペンスです。
読み始めると、どんどんページをめくる指が止まらなくなることでしょう。
『仮面病棟』を一言で言うならば、最高に裏切ってくれる作品です。
知念実希人さんの小説はとても面白いので、『夜勤病棟』以外も読んでみることをお勧めします。
今度は、知念実希人さんの『時限病棟』を読みたいと思います。
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