今回は、私が中学生のころから大好きな作家である、山田悠介さんの小説を読みました。
読んだのは、最新作の『僕はロボットごしの君に恋をする』です。
『僕はロボットごしの君に恋をする』↓
ちなみに、アニメ化もされるようです。
アニメPVはこちら↓
4年ぶりの長編単行本ということで、かなり期待して読みました。
結果、期待以上に面白く、切なくも美しい物語でした。
もちろん、感動しましたよ。
山田悠介さんは、元々『リアル鬼ごっこ』や『あそこの席』、『ドアD』などのホラー小説を主に書いていましたが、近年は感動超大作も手掛けていますね。
私は山田悠介さんのホラー作品が大好きですが、同時に感動作も大好きです。
では、『僕はロボットごしの君に恋をする』の感想を述べていきます。
※本記事の性質上、ネタバレを含みます。
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どんな話?
舞台は2060年の東京で、三度目の東京オリンピックが開催される年。
世界的にAI技術が発達した時代で、日本でも街中に治安維持のためのロボットが人に紛れています。
そんな警備ロボットの「操作官」である大沢健(おおさわたける)は、幼馴染の天野陽一郎(あまのよういちろう)の働きかけによって、東京オリンピックのスポンサー企業であるアテナ社の警備担当に。
そのアテナ社には、陽一郎の妹で、健が想いを寄せている咲(さき)が働いていました。
警備ロボットごしに咲と親密になっていく健。
その一方、東京オリンピックの陰に「テロ」の脅威が迫り……
読んだ人に感動を与えてくれる、切ないラブストーリーです。
感想※ネタバレ注意
2060年という、あと40年以上先の未来が舞台になった本作では、ロボットが人々の生活の中に紛れ込んでいます。
健たち「操作官」が操作するロボットは、かなり精巧に作られているため、普通の行動をさせている限り、ロボットだとばれることはありません。
このような、「もしかするとあり得るかもしれない設定」が、山田悠介さんの小説の非常に面白いところだと思います。
例えば、『復讐したい』では日本で「復讐法」が導入され、「法律に基づいて復讐が可能」という設定を生み出しました。
また、『特別法第001条DUST<ダスト>』では、未就労者を「犯罪」とみなし、強制的に島流しにするという特別法例が作られた日本という設定が作られましたね。
このような、「一見あり得そうな設定」があるからこそ、山田悠介さんの描く物語が一層面白くなるのでしょう。
そして、『僕はロボットごしの君の恋をする』というタイトルのように、健はロボットごしに咲と距離を詰めていきます。
ロボットを通しているため、普段は面と向かって言えないことや、健自身にはできないことも簡単にこなせるため、咲との距離はどんどん近くなります。
咲も、若くイケメンで頼りがいのある健のロボットに惹かれていき、お互い告白をすることはありませんが、確実に恋に落ちていきました。
「ロボットを通して好きな人に接近する」というのは、現在の私たちも似たようなことをしています。
スマホのSNSを通じて好きな人と連絡を取るのは簡単ですが、いざ面と向かって話すとなると恥ずかしくなるなんてこともありますよね。
まあ、何でもできるロボットを通してなら、誰でも強気になれるのでしょう。
今の私たちも、40年後くらいにはロボットを使って似たようなことをしているのかもしれません。
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本作『僕はロボットごしの君の恋をする』の何が切ないかというと、もちろん結末です。
ここからは、本編にかかわる重要なネタバレになります。
本作の最後のほうに明かされますが、なんと健自身も幼馴染の陽一郎が作ったAIロボットだったのです。
健には、陽一郎が「愛」の感情をプログラミングしたため、咲に恋心を抱くようになりました。
つまり、タイトルの『僕はロボットごしの君に恋をする』というのは、操作ロボットと健という二つのロボットを通して、AIが人間を愛した話だったのです。
多くの映画やマンガ、小説において、AIと愛は切り離されていますが、本作はまさかのAIが愛を抱くという展開。
このように、前例を覆すような新設定を取り入れてくれるのも、山田悠介さんの小説の魅力です。
結果的に、健と咲の恋は、健のメモリーをリセットするという形で、成就することなく終わってしまいます。
『僕はロボットごしの君に恋をする』をまとめると、切なくも美しい感動ラブストーリーです。
かなり奥が深い作品なので、ぜひとも読んでみてください。
まとめ
『僕はロボットごしの君に恋をする』は、感動を与えてくれる、美しく儚いラブストーリーです。
同時に、山田悠介さんの魅力が多く詰まった、最高の恋愛小説でもあります。
山田悠介さんの作品は、ホラー物も感動物も、どれもこれも面白いものばかりです。
なので、機会があったらぜひとも山田悠介さんの小説を読んでみてください。
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