住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』感想※ネタバレ注意(素人小説書評)

今回は、住野よるさん『か「」く「」し「」ご「」と「』を読みました。

『か「」く「」し「」ご「」と「』↓

『君の膵臓をたべたい』、『また、同じ夢を見ていた』、『よるのばけもの』に次ぐ、第4作目です。

私は住野よるさんの小説が大好きで、これらの小説はすべて読みました。

どの作品も読みごたえのある素晴らしい作品ですが、特にデビュー作の『君の膵臓をたべたい』は非常に印象に残った作品で、かなりの感動作です。

なので、『か「」く「」し「」ご「」と「』も発売当初に買ったのですが、変な場所に置いてあったので、半年くらい存在を忘れたまま、放置したままでした。

そして、部屋から発掘したので早速読みましたが、今作もかなりの名作。

『か「」く「」し「」ご「」と「』の感想を述べていきます。

※本記事の性質上、ネタバレを含みます。

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どんな話?

人の感情が「記号」という形で目に見えるちょっとした能力者である、高校生5人の話。

男子は2人で、内気で控えめな少年京くんと、その親友のイケメン体育会系男子のヅカ。

一方女子は3人で、陽気で明るくヒーロー気質のある少女ミッキー、いつも意味不明なパッパラパーな発言をするパラ、そして内気な少女エル。

この人の「記号」が見える5人の友人たちを通して、一つの物語が紡ぎだされていきます。

高校生ならではの悩みや不安、自分と人とを比べた時の劣等感など、若いころに誰しもが抱えたことのある葛藤が描かれた青春小説です。

感想※ネタバレ注意

今作『か「」く「」し「」ご「」と「』も、これまでの作品にひけを取らない、非常に読み応えのある作品でした。

『か「」く「」し「」ご「」と「』の特筆すべき点は、普通の高校生たちが、ちょっとした能力を有していること。

人の感情が「記号」で見えるので、彼彼女らには簡単に人の気持ちがわかってしまいます。

そのうえで、彼彼女らは相手のことを想いやりながら、学校生活を送っていくのです。

 
実際、人の気持ちがわかるとしたら、かなり相手に気を使ってしまうことになると思いませんか。

本作のヅカやパラなんかはそうで、相手の気持ちがわかるからこそ、その場で相手のために言うべきことを見出しているという傾向があります。

気持ちがわかるからこそ、気を使ってしまい、自分が本当に伝えたいことではなくても、相手に言ってしまうのです。

これだと気疲れしてしまいますね。

なので、彼彼女たちはストーリーの最初のほうでは各々「記号」を気にしていました。

しかし、ストーリーが進むにつれて、「記号」に左右されない友人関係が築けていっているように感じました。

このちょっとした高校生たちの心の変化を上手く描いているのも、さすが住野よるさんですね。

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青春小説なので、もちろん「恋愛」も登場します。

本作では、ストーリー開始当初から京くんがミッキーに惚れており、ヅカやパラたちが二人をくっつけるようにサポートしていきます。

ですが、問題は京くんの内気で控えめな性格。

京くんは控えめだからこそ、「自分なんか」がミッキーとくっついてしまっていいはずがないと、かなり消極的に考えてしまします。

私もズバズバ人に切り込んでいけるほうではないので、「自分なんか」と殻にこもる京くんの気持ちはなんとなくわかりました。

確かに高校のような狭い世界の中だと、多くの人が常に周りの人と自分とを比べてしまいますね。

ただし、本作ではスト-リーの中盤以降、ミッキーも京くんのことが好きになるので、結果的に両想いになります。

ですが、周りの3人は両想いなことに気づいているのに、当の本人たちはまったく気づかないという状況になりました。

まあ、これは結構ある話ですよね。

こういうのを見てると、二人をはやくくっつけたくなります。

実際、本作を読みながら、「はやく二人がくっつけばいいのに」と思っちゃいました(笑)。

住野よるさんの作品の中で、「恋愛」がここまで描かれたのは初なので、少し新鮮な気持ちで読むことできました。

 
まとめると、『か「」く「」し「」ご「」と「』は5人の高校生たちがお互いに成長しあう、日常を描いた青春小説です。

ほとんどの人が、何かしら共感できる部分があるはずなので、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。

まとめ

住野よるさんの『か「」く「」し「」ご「」と「』は、高校生たちが主役の青春小説です。

ありふれた高校生活の中で、人の気持ちとどう向き合っていくのか、彼彼女らの視点から描かれています。

かなり読み応えのある作品でした。

ちなみに、『か「」く「」し「」ご「」と「』以外の住野よるさんの作品も、かなり面白い作品ばかりです。

ぜひ一度、住野よるさんの作品を読んでみてください。

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