天沢夏月『そして、君のいない九月がくる』感想※ネタバレ注意(素人小説書評)

2018年2冊目の本は、天沢夏月さんの『そして、君のいない九月がくる』

『そして、君のいない九月がくる』↓

これで、天沢夏月さんの小説は4冊目になります(感想を書きているのは2冊だけです)。

これまでの感想記事はこちら↓
天沢夏月『八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。』感想※ネタバレ注意(素人小説書評)

天沢夏月『サマー・ランサー』感想※ネタバレ注意(素人小説書評)

青春小説に定評があるだけあって、今作もなかなか青春という感じがしました。

ですが今作『そして、君のいない九月がくる』は、これまでのものとはまた違った青春小説です。

なので今回は、『そして、君のいない九月がくる』の感想を述べていきます。

※記事の性質上、ネタバレを含みます。

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どんな話?

高校生の仲良し五人組の一人、ケイタが事故で亡くなった。

残りされたミホ、タイキ、シュン、リノの四人は、それぞれ悶々とした夏休みを過ごしていた。

そんなミホの前に、ケイタとうり二つの少年ケイが現れる。

ケイはミホたちに、「ケイタの最後の願いを叶えてほしい」と言い、ミホたちはケイタが亡くなった烏蝶山までケイタの足跡をたどって向かいます。

その過程で、四人がケイタに対して抱えていた思いや感情がむき出しになり、ときには仲間割れにも発展。

ですが、みんなで力を合わせて何とか烏蝶山にたどり着きますが、そこには意外な結末が四人を待ち構えます。

ケイタの「最後の願い」とはいったいなんだったのでしょうか。

ケイタの足跡をたどる旅を通して描かれる、高校生たちの青春物語です。

感想※ネタバレ注意

今回の天沢夏月さんの物語も、まさに青春という感じでした。

『そして、君のいない九月がくる』は、残された四人がケイタの足跡をたどっていくのがメインストーリーですが、その過程で、高校生たちの嘘や嫉妬、恋心などが色濃く描かれているのです。

亡くなったケイタは、性格が明るいイケメン男子で、おまけに陸上の短距離走ではインターハイに出場するほどの実力者。

なので、もちろん友達も多く、クラスでも中心的な人物です。

そのケイタと一緒にいるのが、幼馴染のミホ、中学からの同級生リノ、そしてケイタとミホと同じ陸上部のシュン、そしてケイタと親友になったタイキ。

そんな仲良し五人ですが、ミホ以外の三人は生前のケイタとちょっとした確執がありました。

それゆえ、ケイタが亡くなったのは自分のせいじゃないのかと、自分自身を疑い、攻めてしまうのです。

 
ではネタバレですが、それぞれの確執をみていきます。

まずシュンは、陸上の短距離走の選手で、いつもケイタに勝てません。

そのため、常にケイタのことをライバル視しており、ケイタがインターハイ出場を決めた際には、「お前さえいなければ」と言ってしまいます。

そのことをずっと気にしていたシュンは、ケイタが亡くなったのは自分への復讐だと思ってしまうのです。

要するに、ケイタに嫉妬していたのです。

次にタイキですが、ケイタとはとても気が合う親友ですが、ケイタの幼馴染のミホのことが好きになってしまいます。

ですが、ミホはもちろんケイタが好きで、ケイタもミホのことが好きなのです。

なので、正直タイキが入れる隙はありません。

そのため、タイキもケイタに嫉妬していました。

そしてリノですが、彼女は少し他の人たちとは異なります。

リノはケイタの暗い一面を知っており、そのことをミホやタイキ、シュンに言えないまま、ずっと一人で抱え込んでいました。

なので、ケイタが亡くなった時に、他の人にケイタのことを相談しなかったことを公開します。

 
このように、高校生たちが人に対して抱く嫉妬や劣等感、そして後悔が、ケイタの足跡をたどっていく過程で、あらわにされていきます。

この設定って、非常に現実的ですよね。

やっぱり、どんなに仲が良くても、心の奥底ってのはなかなか見えないものです。

特に、高校生という狭い交友関係の中では、どうしても自分より優れている人に対して劣等感を抱いてしまいます。

それは人間なのでどうしようもないこと。

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ただ、この物語で特筆すべきなのは、それがケイタの足跡をたどっていく際に現れるという点。

そして、その隠れた感情を引き出したのは、他でもないケイタのそっくりさんのケイ。

ケイはケイタがなくなる寸前に、ケイタから生まれた、半分ケイタみたいなもの。

なので、みんな最初は戸惑いますが、結局ケイの言うことを聞き、ケイタの「最後の願い」を叶えに行きます。

 
そのケイタの「最後の願い」とは、ミホを救うこと。

どういうことかというと、ケイタが烏蝶山に行った際、実はミホも一緒に行っており、ケイタと一緒に崖から落ちてしまったのです。

その際、ミホは途中のくぼみに引っかかって助かりましたが、ケイタは亡くなってしまいました。

では、ケイタの足跡をたどってきたミホは、いったい何だったのか。

実はそのミホは、ケイタと一緒に烏蝶山に向かう前にミホが生み出した分身。

その分身が普通に生活を送っていたため、誰も本物のミホがいないことに気付かなかったのです。

 
今回はネタバレが多くなってしまいましたが、『そして、君のいない九月がくる』は、高校生のリアルな感情が描かれた、感動ありの青春小説でした。

高校生に戻りたい、と思ったときなんかに読むといいかもしれません。

まとめ

天沢夏月さんの『そして、君のいない九月がくる』は、感動ありの青春小説。

内容はかなり奥深いので、ぜひとも読んでみてください。

また、天沢夏月さんの作品は他にもたくさんあるので、そちらもあわせて読んでみてください。

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