古代よりさまざまな文明が栄えてきた、メソアメリカ地域。
そのメソアメリカ地域の中で栄えた数々の文明の中でも、特に有名なのはマヤ文明とアステカ文明でしょう。
この二つの文明は、メソアメリカ文明を語る上では、避けて通ることはできません。
今回取り上げるアステカ文明は、メソアメリカの諸文明の中でも最も新しい文明であるため、わかっていることもそれなりに多いです。
その中でも面白いのが、アステカ文明を彩るさまざまな神々。
そこで今回は、アステカ文明の神話に登場する神々を紹介していきます。
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アステカ文明とは?
アステカ文明の神々を見ていく前に、まずはアステカ文明の基本事項を押さえておきましょう。
アステカ文明はメキシコ中央高原で発展した文明で、現在のメキシコの首都であるメキシコシティに、首都であるテノチティトランをおいていました。
かつてこの地域一帯は大きな湖(テスココ湖)が広がっており、テノチティトランもその中に位置していました。
アステカ文明は、周囲の都市(テスココやトラコパン)との同盟関係や支配地域への征服戦争(花の戦争)などを通して、徐々に勢力を拡大していきます。
同時に、アステカの人々は規律のある社会を築き上げ、数々の神々が登場する神話や正確な暦を作り上げるなど、文化的な面でも高度に発展しました。
ですが、1492年にクリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見すると、アステカ文明圏にも金銀財宝を求めたスペイン人が侵入。
1521年、エルナン・コルテスによってアステカの最後の王(クワウテモック)が捕まり、アステカ文明は滅亡しました。
アステカ文明の神々
ここからは、アステカ文明の神々を紹介していきます。
テスカトリポカ
テスカトリポカ↓
¿Te gusta? Es una urna funeraria con la representación del dios Tezcatlipoca. Conócela en el @MusTemploMayor pic.twitter.com/BzFgjj4JfG
— INAHmx (@INAHmx) 2017年8月30日
テスカトリポカは、アステカ神話において世界を創造した神の一柱と言われているため、創造神と言われています。
一方で、伝承の中では戦いに関する神としても登場し、戦いに勝った者の願いをかなえてくれる神としても登場。
テスカトリポカという名前は、アステカの人々が使っていたナワトル語で、「煙る黒い鏡(Tezcatl:鏡+tliltic:黒+poca:煙)」という意味になります。
そのため、絵文書には片足が鏡になって描かれているものもありました。
ケツァルコアトル
ケツァルコアトル(テオティワカン遺跡にて撮影)↓
ケツァルコアトルもテスカトリポカ同様、世界を創造した神の一柱であるため、創造神であると言われています。
また、知識や工芸といったものとも関連する神であると考えられており、アステカの神官に深いかかわりがあった神のようです。
ケツァルコアトルという名前は、ナワトル語のケツァル(Quetzal:羽毛)とコアトル(Coatl:蛇)が合わさっているため、ケツァルコアトルとは「羽毛の生えた蛇」という意味になります。
ちなみに、ケツァルコアトルは古代マヤ文明が栄えたユカタン半島ではククルカンと呼ばれていました。
そして余談ですが、中米(グアテマラからコスタリカ)にはケツァルという非常に美しい鳥がいます。
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ウィチロポチトリ
ウィチロポチトリは、アステカ文明が発展したテノチティトランにメシーカ(アステカの人々)族を導いた神。
ウィチロポチトリは、「石の上のサボテンに蛇を加えたワシが止まっている場所」が、アステカの起源の地(アストラン)であると人々に伝えました。
起源の地↓
Después de su larga peregrinación, los mexicas fundaron #Tenochtitlan en el lugar que, según la leyenda, les había señalado su dios Huitzilopochtli.
Imagen: Códice Mendoza. pic.twitter.com/5NbYCL8Pda— INAHmx (@INAHmx) 2018年3月13日
なので、ウィチロポチトリはある意味創造神であるのですが、どちらかというと部族神としてあがめられてます。
ウィチロポチトリという名前は、ナワトル語で「ハチドリ」という意味だそうです。
トラロック
トラロック(テオティワカン遺跡にて撮影)↓
トラロックは、アステカ文明を語る上で最も重要な神といっても過言ではありません。
トラロックは雨の神なので、農耕をしていくうえで、アステカの人々にとってかかすことのできない神でした。
そのため、テノチティトランにあった大神殿(テンプロ・マジョール)では、上記のウィチロポチトリとともに、盛大に祀られていました。
テンプロ・マジョール↓
また、トラロックの顔が施された壺は有名で、テンプロ・マジョールの跡地にある博物館に展示されています。
トラロックの壺(筆者撮影)↓
ちなみに、トラロックの起源はアステカ文明よりも前の時代から確認されており、かなり古くから信仰されてきた神であることがわかっています。
ミクトランテクートリ
ミクトランテクートリ(筆者撮影)↓
アステカ文明の世界観では、亡くなった人間は死者の国であるミクトランに行くと考えられていました。
そのミクトランの主と言うべき者が、死の神であるミクトランテクートリ。
アステカ文明では地下世界は全部で9層あると考えられており、その9層目がミクトランテクートリのいるミクトラン。
死の神ということだけあって、絵文書に登場するミクトランテクートリは骸骨の姿で描かれているものが多いです。
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まとめ
今回紹介したのは、アステカ文明の神であるテスカトリポカ、ケツァルコアトル、ウィチロポチトリ、トラロック、そしてミクトランテクートリの五柱です。
これらの神々は、アステカ文明を彩る神の中でも、ほんの一握りの主要な神々で、他にもたくさんの個性あふれる神々がいます。
それゆえ、現在でもアステカの神や神話は研究がなされています。
なので、この記事に載っている以上のことが新しく発見されるかもしれませんね。
今後のアステカ文明の研究に期待です。