今回読んだ小説は、小川糸さんの『ツバキ文具店』。
『ツバキ文具店』↓
本屋さんで小説を探していた時に目に入り、気になって買いました。
自分の直感通り、きれいな物語だったため、読んでいて非常に晴れやかな気持ちになりました。
『ツバキ文具店』について感想を述べていきます。
※記事の性質上、ネタバレを含みます。
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あらすじ
鎌倉の「ツバキ文具店」を営む雨宮鳩子は、手紙の代書を請け負う代書屋として働いています。
先代である祖母から「ツバキ文具店」を引き継いだ鳩子のもとには、離婚の報告手紙や友人への絶縁状、両思いだったが結ばれることのなかった幼馴染への挨拶手紙など、さまざまな代書の依頼があり、人の心に寄り添いながら文字を書かなければなりません。
それらの依頼をこなしていきつつ、周りの人たちとの親交を深めていく鳩子は、絶縁状態にあった先代である祖母が何を考え、鳩子をどのように想っていたのかを知ることになります。
ほっこりと温かい気持ちになることができる、じわじわと感動がしみわたってくる小説です。
感想※ネタバレ注意
感動する小説はこの世の中無数にありますが、『ツバキ文具店』はただ感動するだけではなく、心の中を晴れやかにしてくれるような優しい物語です。
私自身、代書というもの自体は知っていましたが、就活の際の履歴書を想像しており、手紙の代書があるということは思いもしませんでした。
なので、この話を読むまでは、代書というのは「ただきれいな字で文字を記す」のが仕事だと思ていました。
代書は文字をきれいに書くのは大前提で、それ以上に人の想いを言葉に乗せることのほうが大切です。
その人の想いをくみ取って言葉にするのが、代書屋なのです。
ゆえに、『ツバキ文具店』のストーリーは心温まるものになているのでしょう。
主人公の鳩子も、先代である祖母との関係が上手くいっておらず、結果祖母が亡くなって店を引き継ぐまで、海外を転々としていました。
なので、生きているうちに祖母と会っておらず、祖母が鳩子のことを大切に想っているという気持ちを、鳩子は知ることができませんでした。
ですが、さまざまな人から舞い込む代書の依頼をこなしていくうちに、祖母のことが頭をよぎり、祖母との思いでを思い出しつつ、祖母の想いに気づいていくのです。
実際私たちも、普段の生活の中で周りの人たちが想っていることを、あまり関係がない第三者の存在によって知ったりすることがありますよね。
しかもそれが、文字としてずっと残り続ける言葉として受け止めると、ただ口頭で言われるよりも印象に残ります。
鳩子も、手紙の代書の中でさまざまな感情を見つけ出せたからこそ、祖母との確執を乗り越えることができたのでしょう。
それゆえ、ゆっくりと確実に心が温かくなるストーリーに仕上がっているのだと思いました。
今回、小川糸さんの小説を初めて読みましたが、非常に読みやすくてきれいな文章だったので、すっと『ツバキ文具店』を読み切ってしまいました。
何か心の温まるストーリーが読みたいときには、ぜひとも『ツバキ文具店』を読んでみてください。
ならびに、『ツバキ文具店』の続編である『キラキラ共和国』も発売されているので、そちらも合わせてお読みください。
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