2019年4月に発売された、知念実希人先生の『レゾンデートル』。
『レゾンデートル』↓
知念実希人先生のデビュー作である『レゾンデートル』は、「幻のデビュー作」と言われるほど世の中に出回っていませんでした。
ですが、改めて文庫という形で出版されることとなり、こうして読む機会に恵まれました。
デビュー作である『レゾンデートル』ですが、これまで読んできた知念実希人先生の作品と同じ世界観を感じられたので、かなり面白かったです。
今回は、『レゾンデートル』の感想を述べていきます。
※記事の性質上、ネタバレを含みます。
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あらすじ
外科医の岬雄貴は、ある日突然末期癌の宣告を受けてしまう。
迫りくる死を前に茫然と毎日を生きていた雄貴ですが、ある日二人組の暴行を受けてしまいます。
不良たちへの復讐を生きる糧として生活していた雄貴は、見事復讐を果たします。
ですが、復讐を果たしたことによって、世間を騒がしている連続殺人犯の「切り裂きジャック」と関係を持つことになってしまいました。
そして、ジャックと関係をもちながら生活をしていく雄貴の前に、一人の少女が現れ、物語は予期せぬ方向へと進んでいきます。
ミステリーとサスペンスが綿密に絡まりあった、知念実希人先生渾身のデビュー作です。
感想※ネタバレ注意
「一番好きな小説家は誰か?」と聞かれたら、私は真っ先に知念実希人先生の名前を挙げます。
それくらい、知念実希人先生の作品が大好きなのです。
これまで、『天久鷹央』シリーズはもちろん、『仮面病棟』や『白銀の逃亡者』、『屋上のテロリスト』、『崩れる脳を抱きしめて』、『神酒クリニックで乾杯を』など、かなりの作品を読んできました。
知念実希人先生の作品はどれも世界観が確立されていて、小説の中に引き込まれていくので、時間を忘れて読んでしまいます。
もちろん、今回読んだ『レゾンデートル』もそうでした。
外科医である主人公の岬雄貴が末期癌の宣告を受けるという衝撃的な展開から始まる今作は、あらゆる事象や人物が複雑に絡み合うことで、知念実希人先生特有の確立した世界観が作られています。
余命幾ばくもない末期癌感謝が、不良たちに復讐を果たし、その結果世間を震撼させる連続殺人鬼と関わりを持つことになってしまう。
さらに、そこに偶然出会った少女がストーリーに関わってくることで、新たな展開を迎えていく。
一見単純な話のように見えますが、知念実希人先生の作品を読んだことがある人ならわかると思いますが、かなり複雑な展開で物語が進展していくため、いい意味で予想を裏切られるのです。
あらゆる事象や人物が複雑に絡まりあう中で、理路整然と結末へと読者を誘う今作は、デビュー作と言えども他の作品に引けを取らない素晴らしい作品でした。
一方で、個人的に思ったのは、他の知念実希人先生の作品よりは、物語全体が暗いなと感じました。
私がこの作品を読む直前まで『天久鷹央』シリーズを読んでいたためかもしれませんが、物語が全般的に暗かったです。
まあ、末期癌患者が主人公であり、かつ連続殺人犯が登場する世界観なので、常に暗い雰囲気なのは当たり前ですね。
ただし、最後は知念実希人先生の作品らしく、スパッときれいに物語が終わります。
以上から、知念実希人先生の『レゾンデートル』はかなり読み応えのある作品なので、かなり多くの人にお勧めしたい作品です。
ミステリーやサスペンスが好きな人はもちろん、知念実希人先生の作品に興味があるという人は、ぜひともデビュー作である『レゾンデートル』を読んでみてください。
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